シャムガキ(シャム柿)とはどんな木?特徴・使われる用途などを徹底リサーチ!
木の世界には“銘木”と呼ばれる物があります。
一般的に流通している木材とは異なり、
- 希少性
- 鑑賞価値
から、非常に高値で取引される木材です。
銘木という言葉に、厳密な定義がある訳ではありませんが、今回取り上げるシャムガキは、銘木として扱われる木材になります。
日本では、古くから木に愛着を持って利用をしてきた歴史がありますが、その中でも黒い木には多くの人が魅了されてきました。
日本で黒い銘木といえば、まず挙がる木材はクロガキでしょうか。
大地が育て上げた黒い色素が描く世界観は、まさに自然が生み出した傑作と言えます。
非常に貴重で高価なクロガキですが、一般に使用する事が出来ないほどの価格です。
それでも、黒い木に魅力を感じる方が多い事から、クロガキの代用材として用いられた木材がありました。
その木材こそがシャムガキ(シャム柿/ジリコテ)です。
シャムガキとはどんな木材?
シャムガキは、柿の名前が付いていますが、カキノキ科ではなく、ムラサキ科という科に属します。
もともとシャムガキは、日本では、黒い木の需要が高いため、おそらく、同じカキノキ科のコクタンの仲間を輸入した事に端を発していると推測できます。
しかし現在、シャムガキという名前で流通している木材は、タイとは無関係の木材です。
主に、中南米で産出されるジリコテと呼ばれる木が、シャムガキと同一の木材です。
クロガキの代用材として、用いられた歴史のあるジリコテ(シャム柿)。
その表情は、クロガキの墨を流したような物に近いかもしれません。
しかし、シャム柿の地の色は、灰色から黒みがかった褐色の色合いで、クロガキの地の色である乳白色に比べると、若干、色が濃い印象があります。
非常に、多彩な表情を出すシャム柿ですが、その表情だけが、人気の秘密ではありません。
乾燥材の重さと、水の重さとを比較した気乾比重と言われる数値は、0.87~0.97と、かなり重く堅い木です。
しかし、シャム柿は、素直な加工性を持っていますので、扱いやすい特徴があります。
シャム柿はどんな用途に使われているの?
クロガキと比べると、価格は、お求めやすいシャム柿ですが、それでもほかの木材と比べると、非常に高い価格となります。
シャム柿は、その重さや堅さからも、用途はかなり限定的になります。
シャム柿の代表的な用途をご紹介します。
ギター材として利用
シャム柿は、銘木としては、大きな板の取れる木ですので、ギターのボディ材として、利用される事があります。
シャム柿の堅さがもたらす、音の響きや見た目の美しさから、ハカランダを代表とする、ローズウッドの仲間の代用材として、利用される事が多いでしょう。
ハカランダとは、ローズウッド(バラの香りのする木)のひとつ。
家具材として利用
シャム柿は、大きな板が採れる木ですので、家具材として
- テーブル
- キャビネット
などに利用される事もあります。
しかし、これは、主に海外での話と考えた方が良いでしょう。
なぜなら、シャム柿の比重は、相当、重い部類になります。
ですので、床がそれほど頑丈ではない建物の場合、シャム柿でできた大きな家具が、床に大きなダメージを与える恐れがあるからです。
仏壇として利用
シタン、コクタン、タガヤサンを三大唐木と呼びますが、唐木とは中国を通って輸入された材のことをいいます。
昔は、仏壇用の木材として人気が高かったローズウッドが、現在ではワシントン条約によって輸入規制の対象となっているため、シャム柿は、今後、唐木仏壇としての利用が多く見込まれるでしょう。
装飾品として利用
銘木は、観賞対象としての価値も高いです。
- 万年筆
- ボールペン
- ガングリップ
- ナイフグリップ
など、小物に使用される事も多いです。
シャム柿は、銘木として扱われる事も多いので。。
- 指輪
- イヤリング
などの装飾品の材料として用いられる事もあります。
シャムガキとクロガキの違いは?
- シャムガキは、ムラサキ科
- クロガキは、カキノキ科
ですので、分類学的にも全く異なる木になります。
ただし、その表情は、どことなく似ている部分もあります。
しかし、実際に二つの木材を並べてみると、全く異なる木であることはすぐに分かります。
シャムガキは、少しクッキリとしたインクを流したような色合いですが、クロガキは、墨汁を流したような色合いです。
シャム柿についてのまとめ
この記事では、シャムガキ(シャム柿/ジリコテ)についての話をしてきました。
銘木として取引される木材の一種ですので、一般的には、あまり馴染みが無い木材だと思います。
しかし、銘木は、その希少性からも、古くから世界中に収集家が存在するコレクターズアイテムとしての価値を持っています。
更に、天然素材であるが故に、絶対に同じ物は存在しません。
だからこそ、銘木は、人々を魅了するのかもしれませんね。
現在では、シャム柿は、非常に人気の高い木で、既に、クロガキの代用材としての地位ではなく、シャム柿独自の魅力が浸透していると言っても過言ではありません。
普通のお店では、ほとんど見かける事の無い木材です。
もし、見かける機会に恵まれたら、その色合いや表情を眺めてみませんか。
銘木と呼ばれるにふさわしい木である事が、確かに伝わってくるはずです。
最後まで、お読みいただきまして、有難うございました。
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