桑(くわ)の木ってどんな木?種類・特徴・見分け方など徹底調査!
日本全国に桑の木は、生息していて、非常に身近な木として知られています。
小さいころに野山に生えている桑から実をもいで、桑の実として知っている方も多いのではないでしょうか。
桑の木と、切っても切り離せない物が「絹」です。
絹を生み出すカイコ(カイコガ)という昆虫は、人間が家畜化した物で、自然界には生息していません。
このカイコが、エサとして食べられる唯一の物が桑の葉なのです。
つまり、桑がなければ、絹を採取する事が出来ません。
桑の名前の由来は、カイコの「食う葉」が縮まったとも、「蚕葉(こは)」の読みが転訛したともいわれています。
養蚕には、切っても切り離せない樹木であると共に、その樹皮や樹木もさまざまな利用がなされてきた樹木なのです。
桑(くわ)の木ってどんな木?
桑の木は、全国的に植えられていますが、島しょ部(御蔵島、三宅島)産の桑(くわ)は珍重されます。
水との重さを比べた数値である気乾比重は、約0.60~0.70で、木材としては重厚な部類に入ります。
樹木として大きいものでは、十数メートルにまで成長しますが、桑の木は、一般的なものは、数メートル程度の高さで、小ぶりな木となります。
また、木材としての備蓄はほとんどない樹木ですので、桑の木は、非常に高い価格で取引されます。
桑の木の用途としては。。
- 床柱
- 箪笥
- 楽器材
- 彫刻材
などに古くから用いられてきました。
熱の伝導性に特徴がある事から、湯飲み茶碗としても多く使われます。
指物にも利用されて来た歴史があり、その使用目的は多岐に渡ります。
現在では、箪笥や机、盆だけではなく、洋風テイストに用いられる事もあるインテリア材としても利用されます。
桑の木にはどんな種類があるの?
桑の木は、クワ科・クワ属の樹木ですが、生息地によって大きく「里グワ」と「島グワ」にわかれます。
更に、小笠原諸島のみに固有種として生息するクワは「オガサワラクワ」として特別な扱いを受ける木材です。
希少価値や価格帯から見ても、圧倒的にシマグワより、「小笠原桑(オガサワラ桑)」のほうが、高級材として扱われます。
木目や色合いの美しさからも、日本の銘木の中でも最高級の扱いを受ける事がしばしばあります。
小笠原諸島のみに固有種として生息する純粋種の「オガサワラクワ」に関しては、現在では、百数十本を残すのみで、絶滅危惧種に指定されています。
残っている樹木は、他のクワと掛け合わせたハイブリッド種です。
それでも、非常に貴重なクワである事には変わりなく、小笠原諸島から持ち帰る事は出来ません。
仮に、オガサワラクワの枝を持ち帰った程度でも、非常に重いペナルティが課せられるほど厳重に管理がされています。
桑の木にはどんな特徴があるの?
現在では、取引される事はありませんが、純正の「オガサワラクワ」は、更に、その上を行くほどの超最高級材になります。
島しょ部で育った桑(くわ)材は、緻密な年輪と木目が美しい事から珍重されます。
しかし、産出量が極めて少なく、貯木もほとんどないために貴重な木材として知られます。
桑(くわ)材は、熱を伝えにくい性質があり、クワの湯飲みは持ち手が熱くなく、湯が冷めにくいと言われています。
そのような熱伝導性を利用した茶碗には、非常に高い評価が付けられます。
また、柔軟性も高く、衝撃に対しての破損率が低い事や、曲げ木に対する適正が高い事も、特徴です。
それらの性質を利用して、古くから指物の材料として珍重されてきました。
桑木材の辺材は黄白色、心材は黄褐色ではっきりと分かれています。
経年変化によって、美しい飴色へと変わっていく傾向が強い木材です。
また、古木になると、樹木によっては、黒く変化する事があり、銘木コレクターの間では、非常に高い価格で取引されます。
その中でも、「オガサワラクワの古木は幻」とも言われ、日本に現存する点数もそれほど多くない、まさに幻の銘木となっています。
さて、同じクワ科の樹木に、「スネークウッド」という大変に、個性的な木材があります。
記事もございますので、是非、この機会にご一緒にお読みください。
スネークウッド材も大変に高価な価格で取引去れているようです⇩
桑の木に害虫はつくの?
クワキジラミ
6月~7月にクワの葉の裏側に、白い糸状のものとして発生します。
多発は稀ですが、この発生によってカイコのエサとしては、品質が低下してしまいます。
クワキジラミは、カメムシの仲間です。
クワゴマダラヒトリ
春と秋に、桑(くわ)につく毛虫です。
クワゴマダラヒトリは、クワを食害します。
食害されたクワの木が枯れる事はないとされますが、素手で触る事で、炎症を起こしますので必ず手袋を装着して処理をします。
桑(くわ)の木の見分け方は?
桑(くわ)の木は、落葉樹ですので冬になると葉が散ります。
樹皮はグレー色で、和紙の材料として利用される事もあります。
桑(くわ)の木は、葉の形に一定の傾向はあるのですが、切れ込みのない葉や、4つに先端が分かれている葉などさまざまです。
桑木材は、色々な樹種が交雑しているので、葉の特徴だけで種類を見分ける事は出来ません。
桑の木の状態や、木目、色合いから、ある程度の産地を推測する事は可能です。
しかし、近年では、桑木材の産出量も極端に減っていて、品質の高いクワ自体が、流通に乗る事も減ってきました。
そのため、板の状態のみで産地を判断する事は、相対的に難しくなっているとも思われます。
信用の出来る材木商との取引が、重要になる樹木の一つです。
桑で作った時計⇩
桑木材についてのまとめ
キイチゴに似た木の実で、赤から黒へと熟した桑の実を食べるのも、また、風情があります。
桑の木は、私たち日本人の生活において、古くから非常に身近で馴染みのある樹木なのです。
また、高級材としての地位も確立していて、木の美しさを存分に発揮出来る銘木と言えるでしょう。
明治時代の乱伐採によって、絶滅してしまったオガサワラクワをはじめ、自然保護の大切さを知るにも良い教材となる樹木の一つです。
残念なことに、シマグワの違法伐採は、現在でも行われています。
大切な自然資源だからこそ、美しく銘木としての価値が高いからこそ、私たちはしっかりと、自然保護に意識を向けなければならないのです。
高く取引されるからといって、別の桑(くわ)を絶滅させてしまえば、新しい相場によって、更なる自然破壊が繰り返されるかもしれません。
そうならないためにも、希少価値が高い樹木の扱いをしっかりと学ぶ事が重要です。
クリーム色からの経年変化による飴色は、まさにクワノキの特徴と言えます。
年月の積み重ねによる色合いの変化は、物を大切にする心にも繋がる事でしょう。
もし、クワノキで作られた製品を手に取る事があったならば、自然と同じように長い時間を、
長い年月を掛けて育てる作品だと考えてみてはいかがでしょうか。
きっと、愛着が芽生えて、自然が生み出した、ただひとつしかない一点物である事に、お金以上の価値を見出す事が出来るのではないかと思います。