イスノキ木材ってどんな木?種類・特徴・使われる家具など総まとめ!
「イスノキ」という名前を聞いても、あまり、耳馴染みの無い樹木でしょうか。
しかし、日本では、非常に古くから愛用されていて、全国的に加工品としても流通していました。
それだけ人気の高い木材だったために、地方名が色々あるのです。
その理由から、イスノキ木材は、イスノキという名前よりも、別の名前を聞いたらピンッと来る方もいるかもしれません。
- ゆすのき
- ゆしのき
- ひょんのき
- さるぶえ
こういった名前は、全て、イスノキを表している言葉です。
木材としては、日本でもトップクラスの重さと堅さを誇る木材で、その堅さを利用して様々な製品に加工されてきました。
イスノキ木材は、輸入銘木の代替材として、扱われる事もありますが、その実力は確固たる銘木に劣る事はありません。
それほど魅力的な、「イスノキ木材」について話を進めていきましょう。
イスノキ木材ってどんな木?
日本では、暖かい地方に多く生息する樹木で、高さは最大で20メートルくらいまで大きくなる樹木です。
特に、鹿児島で多くの産出が見られます。
たとえば「伊集院」という苗字は、イスノキの院→イジュウインと、転化して発生した苗字という説もあります。
イスノキ木材って種類はあるの?
イスノキ木材は、マンサク科・イスノキ属の広葉樹という分類になります。
同じ属の樹木は、ヒマラヤには数種類あると言われていますが、日本には、イスノキ1種類しかありません。
イスノキ木材には、アブラムシが寄生して、葉っぱに特徴的な小さなコブを多数付けます。
このコブは、非常に多くみられる物なので、これを利用した鑑別が可能となっています。
イスノキ木材ってどんな特徴があるの?
生活に密着しているイスノキ木材ですが、非常に堅く、重い性質があります。
水との重さを比べた数値である気乾比重は、約0.85-1.00と、木材としてはトップクラスに重い部類です。
イスノキ材は、木材として、利用できるようになったのは、だいぶ、時代が進んでからなのです。
イスノキ木材は、日本に自生する堅い樹木として、名前が挙がる筆頭かもしれません。
- カシ
- オノオレカンバ
- ヤエヤマコクタン
などの樹木と比べても、その重さと堅さは一歩も引けを取りません。
チョコレートブラウンの魅力的な色合いは、まさに、イスノキ木材の美しさを特徴づけています。
イスノキ材は、磨いた後の輝き、色合いは他の樹木ではなかなか出せない魅力的な風貌を持っている事もまた、人気の秘密でしょう。
イスノキ木材はどんな用途に使われているの?
イスノキ木材の加工技術は、刃物の精製技術と共に進んできました。
日本では、主に、江戸時代から、イスノキ材の堅さを最大限に、引き出した製品が多数作られていきます。
イスノキの重厚さがあれば、歩行補助の役割を果たす事は容易だったのかもしれません。
また、木刀材としての価値を見出され、示現流という剣術流派では、イスノキ木材の木刀を使用する事で有名です。
イスノキ材を燃やした灰(いすばい)は、陶磁器の釉薬(ゆうやく)としても利用されますし、虫こぶに含まれる色素を染色に用いる事もありました。
釉薬(ゆうやく)とは、陶磁器などの表面をおおっているガラス質の部分のこと。
うわぐすり。
江戸時代では、特に、髪飾りの材としても、多く利用されました。
櫛(くし)と言えば、ツゲ櫛が代名詞ともなるほど有名で、ツゲに負けじと、人気が高まってきたのがイスノキ櫛(くし)です。
櫛(くし)と言えば、イスノキ木材と同じように、使われてきた木材があります。
その名は、「イチイ材」です。
イチイ材についての記事もございますので、是非、この機会にご一緒にお読みください。
木材についての知識が増えると、愛着も増してくると思います⇩
ツゲとは、色合いが大きく異なるので、人気が高まった事も頷けます。
又、イスノキ木材は、箸としても使われていました。
現在では、イスノキ材は、非常に美しい色合いと表情から、一枚板を利用したテーブルなどの高級家具材として人気があります。
魅力的な濃い茶色は、シタンやシマコクタンの茶色とはまた異なり、独特の美しい表情を見せます。
その耐久性を用いて、
- フローリング
- ウッドデッキ
に利用される事もあります。
ただし、高価な木材となりますので、イスノキ材の加工品の金額は、かなり高くなる傾向にあります。
さて、重くて、硬い木といえば、「カシの木」や「黒檀(コクタン)」も有名です。
「カシの木」そして、「黒檀(コクタン)」の記事もございます。
是非、この機会に一緒にお読みください。
木材って、とても奥が深いのです。
色々な木材についての知識を増やし、沢山、木材に愛着をもってください。
樫の木(カシノキ)の記事がこちらです⇩
あわせて、黒檀(コクタン)の記事がこちらです⇩
イスノキ木材についてのまとめ
日本が誇る重く、堅い木。
それが、「イスノキ木材」です。
古くから、日本人に愛されてきたものの、その堅さと上手く付き合う事が、長年の課題だったのかもしれません。
イスノキ材が生えていて、立ち木のまま枯らして、そのまま風雨に晒した後に伐採。
その後、磨いて、床や柱などに利用するといった、他の樹木で、まず、見られない伐採方法が確立したのも、また、イスノキ材の重厚さを物語るエピソードと言えるでしょう。
濃い茶色や、濃い赤褐色とも評されるイスノキの色合いですが、やはり、深い味わいを持ったチョコレートブラウンに近い色合い。
その表現が、しっくりとくるのではないでしょうか。
イスノキ木材の独特の色合いと表情は、多くの人を魅了してやみません。
もし、イスノキ材を見かける事があったなら、ぜひ、その重厚さと色合いの美しさを確かめてみてください。
最後までお読みいただき、有難うございました。